独立行政法人 地域医療機能推進機構 北海道病院

呼吸器センター(呼吸器内科)

診療・各部門

Respiratory Disease Center (Pulmonary Medicine)

診療内容・特色

呼吸器内科は、呼吸器外科とともに呼吸器センターを形成し、呼吸器疾患全般の診療に対応しています。対象としている疾患は、呼吸器腫瘍(原発性肺癌、縦隔腫瘍、胸膜中皮腫等)、呼吸器感染症(肺炎、胸膜炎、肺結核、肺非結核性抗酸菌症、肺真菌症、インフルエンザ等)、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息(咳喘息を含む)、びまん性肺疾患(特発性間質性肺炎、膠原病肺、過敏性肺炎、サルコイドーシス等)、気胸、石綿肺などの職業性肺疾患、肺結核後遺症、睡眠時無呼吸症候群、肺胞低換気症候群、およびこれらによる急性、慢性の呼吸不全などで、呼吸器疾患をほぼ網羅しています。
呼吸器疾患、肺癌および感染症の専門医が、国内および海外の学会から最新の情報を積極的に取り入れた診療を行っています。呼吸器疾患は、異なる疾患でも、 咳、痰、血痰、息切れ、喘鳴、発熱など非常に似通った症状で発症することが多く、一つの施設でほとんど全ての疾患に精通し適切な鑑別診断と治療を行えることが当科の最大の強みです。
無症状で、突然健康診断の結果異常陰影を指摘される場合や、時に急な激しい症状で発症する疾患がある一方で、息切れ、喘鳴発作の様に長期間に亘って生活の質を低下させる症状が続く疾患もあります。
当科ではコメディカルとともに患者の皆さんに寄り添ったチームとして診療をしています。呼吸器疾患に関して、いかなることでもご相談ください。

※現在コロナ患者の受け入れを行っているため、結核患者の受け入れについては、休止しております。

対象・治療法の例

以下に、当科で行われている診療をいくつかの代表的な疾患、治療法について見てみましょう。

(1)原発性肺癌

気管支鏡検査あるいはエコー/CTガイド下肺生検による確定診断、組織型および病期を考慮した治療を行っています。手術適応を呼吸器センター外科との手術カンファレンスで詳細に検討し、積極的に胸腔鏡下手術を行っています。進行肺癌については、道内道外の大学あるいは研究施設との共同臨床試験にも参加し、癌遺伝子変異の有無について調べ、免疫チェックポイント阻害剤、分子標的薬、細胞障害性抗癌剤等を組み合わせて治療成績の向上を目指しています。外来化学療法室の設備があり、希望の方には外来での化学療法を行っています。また、緩和療法にも他職種のチームを作り、注力しています。

(2)慢性閉塞性肺疾患

国内外の学会への参加・発表、国内および国際共同治験に参加し、最新の情報を集め日常の診療に反映させています。
現在の長時間作用型気管支拡張剤の定期吸入を主とした治療では以前に比べ、より息切れを少なく生活の質を高く維持して安定した生活を長く続けることができます。包括的呼吸リハビリテーションも入院および外来で積極的に進めています。

(3)気管支喘息

ガイドラインに従って吸入ステロイド、吸入ステロイドと長時間作用型気管支拡張剤の合剤の定期吸入で治療をしています。また、難治性気管支喘息の治療目的で続々と開発されている生物学的製剤(注射薬)も多数例に使用しています.いわゆる咳喘息を含む慢性咳嗽の診療も経験豊かです。現在、問題になっている、気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患の合併(いわゆるACO)についても北海道大学との共同研究を進めながら進んだ診療を行っています。

(4)特発性間質性肺炎

診断には臨床症状、高解像度胸部CTおよび組織所見を用いた総合的な解析が必要です。当科は札幌市の一般病院で最も特発性間質性肺炎の症例数が多く、急性期および慢性期の治療に精通しています。抗線維化薬の治療について多数例の経験があります。

(5)肺結核

陰圧の隔離病床の設備があり、肺結核の診断と治療を行っています。当院は結核療養所として成立した歴史があり、肺結核の診療には深い経験の蓄積があります。肺結核の診断と治療の新しい動きにも常に対応しています。

(6)肺非結核性抗酸菌症

最近中高年の女性に急速に症例数が増え、他施設からの厚い信頼を得て多くの症例の紹介を受けています。軽症例では外来での肺CTによる慎重な経過観察、症状の明らかな中等症および重症例については入院での菌種確定および治療を行っています。稀な菌種の同定はしばしば非常に困難ですが、専門の研究施設に依頼してそのほとんどを同定し、診療の経験を積んでいます。

(7)睡眠時無呼吸症候群

夜間のいびきや無呼吸、日中の強い眠気の症状があり睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、自宅で簡易型の睡眠時呼吸モニターを用いてスクリーニングを行い、入院では脳波を含めた睡眠ポリソムノグラフィーにより閉塞型か中枢型か、より詳細な診断を行います。鼻マスクによる持続陽圧呼吸療法(nasal CPAP)を外来で多数例に使用しています。

(8)在宅人工呼吸療法

肺結核後遺症、脊柱側弯症などの拘束性呼吸機能障害(肺を広げられなくなる呼吸機能障害)では鼻マスク等による非侵襲的人工呼吸(NPPV)療法を夜間睡眠時のみに用い、日中は酸素を用いない自発呼吸として活動範囲を広げることができる在宅人工呼吸療法の良い適応 となります。酸素療法だけでは不十分な重症慢性閉塞性肺疾患にも多くの例に使用しています。当科はこの在宅人工呼吸が健康保険適応となって以来、20年以上の経験があります。多数の患者さんが安定した日常生活を送り外来通院をしています。

医師紹介

原田 敏之 (センター長)  日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医・代議員
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医・気管支鏡指導医・評議員
日本臨床細胞学会細胞診専門医・教育研修指導医・北海道臨床細胞学会理事
日本肺癌学会評議員
日本感染症学会感染症専門医・指導医
日本臨床腫瘍学会指導医・がん薬物療法専門医
日本がん治療認定医機構 暫定教育医・がん治療認定医
日本化学療法学会抗菌化学療法認定医
日本結核病学会・抗酸菌症認定医・指導医・代議員
インフェクションコントロールドクター(ICD)
日本アレルギー学会アレルギー専門医
日本サイオンコロジー学会認定がん医療に携わる医師のためのコミュニケーション技術研修会ファシリテーター
日本内科学会JMECCディレクター
日本救急医学会ICLSコースディレクター・ワークショップディレクター
長井 桂 (統括診療部長) 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医
日本プライマリ・ケア連合学会認定医
日本結核病学会結核・抗酸菌症認定医
谷口 菜津子 (医長) 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医
日本アレルギー学会アレルギー専門医
相澤 佐保里 (医員) 日本内科学会内科専門医
榊原 寛大 (医員)
水島 亜玲 非常勤医師 日本内科学会認定内科医
日本呼吸器学会呼吸器専門医